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日本遺産の街並み散歩 〜江戸の町割りと、昭和の街並みが残る、結びのまち「高砂」〜

古くから結婚式等で歌われる謡曲「高砂」の発祥の地として知られている高砂市。
慶長6年(1601年)に姫路城主池田輝政が加古川舟運の河口港を開いた際、本格的な町づくりが進められ、さまざまな産業が発達した地でもあります。
いまもなお、江戸時代に造られた町割りが残り、兵庫県歴史的景観形成地区に指定されています。
今回はそんな高砂のまちを堪能できる、おすすめのモデルコース「日本遺産街並み散歩〜江戸の町割りと、昭和の街並みが残る、結びのまち「高砂」散歩〜」をご紹介します。

山陽「高砂駅」街歩きガイドと合流

集合場所の山陽電車の高砂駅へ。
まち歩きガイドの方々にご案内していただきます。




緩やかにカーブがかった道を歩いて行きます。
ここはかつて加古川駅と高砂駅を結ぶ、国鉄高砂線が走っていた廃線跡。


腕木信号機や転轍がモニュメントとして残されており、廃線の名残を感じることができます。
さらに進んでいくと、煉瓦と木造でできた風情ある建物に到着しました。



【山陽電車「高砂駅」】

住所:〒676-0022 高砂市高砂町浜田町2丁目1−1

梅ケ枝湯

山陽高砂駅から国鉄高砂線が走っていた廃線跡を歩くこと10分。
煉瓦と木造でできた風情ある建物に到着しました。
こちらは昭和18年(1943年)に創業を開始した梅ケ枝湯。



 

地元の方だけでなく、銭湯ファンからも愛され続けている現役のお風呂屋さんです。
今も昔と変わらず、薪でお湯をわかしており、営業時間が近づいてくると、煉瓦の煙突からもくもくと煙が出てくるのが印象的です。



【梅ケ枝湯】
住所:〒676-0063 高砂市高砂町次郎助町1593
TEL:079-442-0985
営業時間:16:00~23:00(木曜定休)
料金:大人450円・中人160円・小人60円



十輪寺


十輪寺は浄土宗西山禅林寺派の寺院で、弘仁6年(815年)に弘法大師が勅命により創建されたことが始まりとされおり、その後、法然上人が寺を復興し、浄土宗に転宗したと伝えられ、現在も絹本着色五仏尊像などの文化財が数多く残されています。

 

山門の屋根の瓦をよく見ると、うさぎが描かれていました。
これは、子孫繁栄や五穀豊穣をもたらすようにと造られたのではないかと言われています。
こちらは元禄6年(1693年)に建てられた二重棟寄棟造の本堂。
兵庫県の指定文化財に指定されています。

 

境内の半分近い敷地には墓地があります。
こちらは「高麗仏」と呼ばれる宝篋印塔。
文禄元年(1592年)に豊臣秀吉が朝鮮に出兵した際、徴発された高砂の水主100人のうち96人が亡くなり、その供養のために建てられたもの。


 

他にも高砂城主や文化人など、さまざまな方のお墓が立ち並んでいます。
ちなみに、帆布製造の始祖として有名な工楽松右衛門のお墓は、帆布の形になっているんですよ。


 

【宝瓶山 十輪寺】

住所:高砂市高砂町横町1074
電話:079-442-0242

 

和モダン町屋カフェ「季のしずく」

ここは築約100年の古民家を使ったカフェ。


向かって左側が洋館になっています。

店内は落ち着いた雰囲気で、奥にかわいらしい猪目窓があります。
猪目窓はハート型に類似した、日本の伝統紋様で、災害を除き、福を呼び込むという思いが込められたもの。
窓越しに眺める中庭がとても素敵なんですよ。


今回いただくメニューは「恋するソーダ」。
淡い初恋をイメージしたブルーのソーダがとてもきれいです。


落ち着いた空間で、おいしいソーダをいただきながら、ガイドの方との会話が弾みます。
ちなみにカフェ以外にもレンタルスペースもあるため、教室や展覧会などでも使用できるんだそう。

【季のしずく】
住所:兵庫県高砂市高砂町鍛冶屋町1386
電話: 080-3800-0429
営業時間:11:30〜17:00(冬季10〜3月)11:30〜18:00(夏季4〜9月)
定休日:水曜日

高砂神社

神功皇后によって創建され、素盞鳴尊と妃奇稲田姫、その皇子大国主命の三神をご祭神として祀っている高砂神社。
建設後に相生松が生えてきたことから、縁結びのパワースポットとして広く知られています。


 

境内には縁結びの由縁である「相生の松」があります。
相生の松は1本の根から黒松と赤松、2本の幹をもつ松のことで、こちらは5代目。
黒松は固く、赤松はやわらかい、全く違った触り心地です。



縁結びの神様ということもあり、社務所の壁が猪目窓になっています。
とても可愛らしく、人気のフォトスポットにもなっているそう。


 

こちらの神社には能舞台があり、定期的に能を楽しむことができます。
ちなみにこの松の絵の中に、ハートが3つ隠されているそう。


 

全部見つけるといいことが起きそうですね。

 「いいご縁に恵まれますように」と願いを込めてお参りした後は、江戸の町割りを散策しに行きます。

 

【高砂神社】

住所:兵庫県高砂市高砂町東宮町190
電話:079-442-0160
営業時間:9:00〜18:00

 

江戸の町割り

ここは、江戸時代に姫路藩主の本多忠政が作った町割りがそのまま残されており、江戸時代から昭和にかけて造られた建物を見ることができる魅力たっぷりの町並み。
十字路に立つと、どちらも直線で、綺麗に町割りされているのがわかります。


 

また、道路の側溝をよく見ると、竜山石が敷かれていました。
竜山石とは高砂市で産出される石で、姫路城や明石城などの石垣にも使用されています。
これは道路と家の境界を表しているそう。


 

町中には、所々に「町名由来看板」が設置されています。
こちらの町名は「魚町」。
町割りされた当時からの町名がそのまま残り、その数なんと29町もあるんですよ。


 

【江戸の町割り】

住所:〒676-0053 高砂市高砂町魚町

御影屋

ここは「松右衛門帆」を独自に再現し、鞄などの商品を販売する御影屋。
1階は工場で、2階がショップになっています。 


 

店内には色とりどりの松右衛門帆で作られた商品がずらりと並んでいます。
今回は小物入れを作るワークショップを体験させていただきました。


 

こちらが用意された松右衛門帆。
触ってみると厚みがあり、とてもしっかりした生地。どれも個性があって面白く、どれにしようか悩んでしまいます。


 

選んだ生地に金槌を使って、留め具を付けていきます。


 

コンコンコン!
意外と力を入れずに付けることができました。
こちらが完成した小物入れ。自分だけの一点ものです。


 

松右衛門帆についても、お話を聞くだけでなく、自分の手で作ることができるのが魅力的ですね。
これから何を入れて使おうか、とても楽しみです。

 

【御影屋】

住所:〒676-0041 高砂市高砂町今津町510
電話:079-440-9031
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休

 

工楽松右衛門旧宅

工楽松右衛門の居宅として江戸時代後期に建てられたエ楽家旧宅。
工楽松右衛門とは、船の頒布を改良し、耐久性に優れ丈夫な「松右衛門帆」を発明した”帆布製造の始祖”と呼ばれた人物。
本瓦葺きの木造二階建てで、1階が9部屋、2階が7部屋あります。
平成28年(2016年)に工楽家から市に寄贈され、現在は工楽松右衛門や、松右衛門帆について学ぶことのできる施設へと活用されています。


 

この外壁は船板壁で、船に使われていた木材を使用しているそう。
火事から家を守るという思いが込められています。
それぞれの板の形が違い、とてもユニークな模様が作り出されているのが面白いですね。


 

中に入ると、吹き抜けになっている土間があります。

見上げると開放感のある空間に、迫力のある梁があるのが印象的。
左側にはおくどさんで、五つの釜戸を見ることができます。


 

各部屋では、工楽松右衛門をはじめ、松右衛門帆について書かれたパネルなどが展示されているので、見どころがたっぷり。


 

エ楽家旧宅は、とても丁寧に造られており、床には一部亀甲殴りと呼ばれる、ちょうな 等を使用して削り後を残す日本古来の技術を使った「名栗加工」が施されています。


 

江戸時代から明治頃までの間、北海道から大阪までの国内海運に幅広く使用されていたという、弁財船の模型。
もちろんこの船にも松右衛門帆が使用されていました。
約20分の1の大きさで、忠実に再現されています。


 

他にも工楽松右衛門の功績を伝える動画なども見ることができるので、時間をかけてゆっくりと見学するのがおすすめです。

 

【エ楽家旧宅見学】

住所:〒676-0041 高砂市高砂町今津町531
電話:079-490-4790
営業時間:9:00〜18:00
定休日:年中無休(12月29日〜1月3日をのぞく)